花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 『ラッシュライフ』

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伊坂幸太郎の2作目。
エッシャーの騙し絵がモチーフになっているように、
およそ5つのストーリーが、複雑に絡み合うような
ミステリーに仕上がっている。

思わず、紙にチャートを書いて目で追っていきたくなるような展開。
どことなく寓話的で、かつ運命的な展開は面白い。
読んでいく中で、若干の時間の「ずれ」が生じているのも
味わいの一つなのだろう。

それにしても、仙台という設定が、こうまでつづくと
それ自体、街に魅力を感じるようになってくる。
仕事も含め、何度となく足を運んではいるが、
物語の中の街を追ってみたくなる。

物語の登場人物が、シーンごとにつながりがあり、
最後はみんなタワービルの展望台をめざす、
という様式美になっているが、
一部の登場人物は他の作品とも関連性がある。

伊坂は登場人物も仙台の「住民」として
独自の世界を楽しんでいるのだと思う。