花鳥風月記

流れる水に文字を書く

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

愚短想(13) 小田実の死を悼み、岸井成格に物申す。

小田実が30日の未明、亡くなった。 『中流の復興』の書評を掲載するとき、「書いているときには亡くならないだろうなあ」と 不安に感じながら、少し急いで、本を読んだ。勿論、小田実本人の目に触れることはないだろうから、 あくまでも自分個人の感情でし…

陸に上がった軍艦

「今日はお祭りですが、 あなたがいらっしゃらないでは、 何の風情もありません」 渋谷のユーロスペースにて。 95歳になる新藤兼人監督のドキュメンタリーを基にしたドラマ半分の映画。 本人の証言による出演と、32歳当時の新藤を蟹江一平(敬三の息子)が…

ヒロシマナガサキ

神保町の岩波ホールにて。 先日の「TOKKO―特攻―」に続き、日系アメリカ人の映画監督が手がけた映画を観る。 今回は、題名のとおり、広島・長崎の原爆被爆者についてのドキュメンタリー。 スティーブン・オカザキ監督は、パンフレットの中でこう書いてい…

GENESIS 『SELLING ENGLAND BY THE POUND』

高校時代の後輩に誘われて、プログレのアマチュアバンドに入ったことがある。 担当はベースだったが、譜面も読めないただのコピーバンドの経験しかない自分にとって 楽器店店員のギターさんがいたそのバンドは、興味があったものの、その人のオリジナル曲を …

ジェフ・バーリン「チャンピオン」

この前買った「ベース弾きにはたまらないDVD」は、まだ見れないでいる。 買ったときにジェフ・バーリンの名前がなかったのが気になった。 1985年だから、もう22年前にソロCD「チャンピオン」を出した。 確か、アルバイトでやっと買えたミニコンポ…

『中流の復興』 小田実

中高年、いやそれよりももっと上の世代は、小田実といえば 「なんでもみてやろう」と「べ平連」ということがイコールで結びつく。 勿論、自分はまったく同年代ではないのだが、「なんでもみてやろう」はかつて読んだことがある。 今の若い人向けに簡単すぎる…

TOKKO―特攻―

渋谷シネ・ラ・セットで観る。 この映画館も、そのビルの主役とは言えず、奥に30席程度の固定シートと 前方に大小様々なソファやパイプ椅子が並べられていた。 最大60人は入れそうか…。何か手作り感覚で良い感じもする。 こういった映画館は、4年ほど前、横…

ルネッサンス

渋谷のシネセゾン渋谷にて。 渋谷には映画館が結構あるものの、時代の流れで明らかに「主役」ではないところもある。 シネセゾン渋谷も、言い方によってはパチンコ屋の6階にある。 モワ~っとするタバコの臭いを横目にエレベーターに乗らなければならない。…

愚短想(12) 歴史の断片

記録は冷たく 記憶は生々しい 思い出は優しい

伝説になった英雄

渋谷のユーロスペースにて、先日の『コマンダンテ』『低開発の記憶』に続いてのキューバ物。 夕方、渋谷に着き、時間があったので、少し歩く。Q-AXビルの近くには、先日の爆発事故のあった 松涛温泉がある。既に解体・撤去は決まっているが、まだ手付かず…

『イラク ―狼の谷―』

本日最終日、とのことで、銀座シネパトスへ行く。 この映画館のすごいところは、道路の下にあること、並びの居酒屋や揚げ物の匂いが漂うこと、 そして館内に地下鉄の轟音が響くことである。古くからある映画館だが、 座席は新しいもので、飲み物・ポップコー…

『沖縄密約 「情報犯罪」と日米同盟』 西山太吉(岩波新書)

「外務省機密漏洩事件」―これもある程度作られた「官製」の表記かもしれないが、― その事件の渦中にあった人物が30余年にわたる沈黙を破り、沖縄密約の核心に迫る労作。 30余年という月日が、その当時の生々しい個人史から解放され、事実を丹念に積み上…

中孝介『花』

今日、珍しくも、「NHK歌謡コンサート」を見る。 この手の番組を見ると、いつも「この人、何か病気もってるんじゃない」とか 「この人、何か別の仕事をしてるんじゃない」という突っ込みを親子で入れてしまう。 父親はわりとそういったことにうるさくて、…

愚短想(11) 万年筆考

万年筆を持ち始めたのは中学生の頃だった。 学研の「マイコーチ」を購入時の付録に付いてきた。 カートリッジ式の万年筆は、新鮮で、よく使っていたが、いつの間にかなくなっていた。 次は、大学入学時に父親から貰った。 「大学生なら万年筆くらい持ってお…

愚短想(10) 大きいもの・小さいもの

我が家のテレビが壊れてしばらく経つ。 新型テレビや中古の製品を探しつつも、これといった決め手がない。 とりあえずは、29型テレビ台の上に14型のテレビが鎮座している。 いわゆる「茶の間」では、14型テレビは「威厳」がない。 そんなテレビで、ブ…

『白百合クラブ 東京へ行く』

以前から観たい、と思っていて、 今回の「沖縄クロニクル」で最も関心が高い映画だった。2003年の作品。 キューバでいうなら「ブエナ・ビスタ」(当時もそういう触れ込みだった) 昭和20年代から営々と続けられた大衆楽団「白百合クラブ」の東京公演を…

『深呼吸の必要』

シネマアートン下北沢の「沖縄クロニクル」最終日。 残念ながら、「ホテル・ハイビスカス」は観られなかったが、 また観る機会はあるだろう。 1本目は『深呼吸の必要』。 沖縄・宮古島での35日間のさとうきび刈りを通した青春群像。 主演の香里奈は『しゃ…

魚住 昭 『官僚とメディア』

本書は、近年のジャーナリズムの衰退について、西山事件・共同通信での体験・ 耐震偽装事件・オウム事件・ライブドアと村上ファンド・NHKと朝日新聞・ 裁判員制度など、近年の過熱する集中豪雨的報道と「国策捜査」と表する官僚の横暴 を緻密に書き上げて…

スタンリー・クラーク「Night School」

タワーレコード新宿店のデモで即買い。 登場する人物を見たら、ベーシストには堪らない陣容を誇る。 しかし、悲しいかな、テレビが故障中(音が出ない) 昔、何かのCM(アイフル?)にあったなあ「ボーナスまで待ちな!」 しかし、このジャケットが当時の子犬…

『「関係の空気」「場の空気」』冷泉彰彦

日本社会の持つ「場」の関係性を「空気」という軸で語っている本。 見方は面白いが、面白いだけ。「こういう見方がある」という意味では参考になる。 本書の中で気になった箇所は …私の知り合いのアメリカ人で、日本でALT(Assistant Language Teacher)と…