花鳥風月記

流れる水に文字を書く

『白百合クラブ 東京へ行く』

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以前から観たい、と思っていて、
今回の「沖縄クロニクル」で最も関心が高い映画だった。2003年の作品。
キューバでいうなら「ブエナ・ビスタ」(当時もそういう触れ込みだった)
昭和20年代から営々と続けられた大衆楽団「白百合クラブ」の東京公演を追った、
ドキュメンタリーであり、ロードムービーでもある作品。
技巧の是非ではなく、56年以上、演じ続ける人々の厚み。
決して「プロ」ではなく、日常の生活を営みながら、「ハレ」の世界を体現する
まさにパフォーマンスの手本となる生き方を見せてもらう。

特に「さよなら港」の天久美智の舞踊は67歳とは思えない、
(足をピンと張りながら、高く上げるシーンは客席がどよめいた)
鳥肌モノだった。

今回は、監督の中江裕司THE BOOMの後押しもあって、東京公演が実現。
欲を言うならば、もう少し白百合クラブの演奏が観たかったこと、
対照的にTHE BOOMのシーンをもう少し減らして欲しかったこと。
宮沢和史のキジムナー姿はいまいち)
そして、観客の殆どはTHE BOOMつながりの若い人だったかもしれないが、
相応の年齢層の人にも動員して欲しかったことが上げられる。
やっぱり大衆芸能の「大衆」という部分のいろどりは、同じ世代を生きてきた人との
歓喜の交わりがあってこそ、と思う。何かの目新しさを追いかける若者よりも、
それはずっと深い。

今度、生で見てみたい。