花鳥風月記

流れる水に文字を書く

チャップリン 「独裁者」

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日曜日の休みは、ウダウダしていたら、午後2時を過ぎてしまった。
外に出かけるのもしんどかったので、買って観てないDVDを観た。
チャップリンの映画は買ってから1年以上経つ。
500円の手軽さがあったが、いざ観ようとすると、
映画館のように2時間近くテレビを観る機会がない。
今日はたまたまそのチャンスがあった。

1940年の公開なので、まだ第2次世界大戦前。
つまりは、まだヒットラーが君臨していた時代であり、
ナチスによるユダヤ迫害もその現実が日常となっている時代でもあった。
(ホロコーストについては知られていたか、分からない)

チャップリンは、そこで対極の二役を演じる。
ヒットラーと思しき独裁者と、ユダヤ人の床屋。
「活動写真」らしく、チャップリンの動きはコミカル。
とくにフライパンの攻撃を頭に受けた後の千鳥足は圧巻。
その動きの面白さだけではない、風刺やペーソスが今の時代でも新しい。

そして、最後の演説のシーンは、観ている人の心を奪う。
和訳はいろいろとあり、意味は少しずつ違うかもしれないが、
今回観たDVDの訳を書いておく。

すまない
私は皇帝になりたくない
支配するよりも人を助けたい
ユダヤ人も黒人も白人も
人類とはお互い助け合うもの
他人の不幸よりも幸福を望み
憎しみあうべきではない
地球には全人類を包む豊かさがある
自由で美しくあるべき人生は
貪欲により汚され
憎悪が世界を多い
流血と惨めさが残った
スピードが自由を奪った
機械により貧富の差がうまれ
知識を得た人類は優しさをなくし
感情を無視した思想が人間性を失わせた
知識よりも大事なのは思いやりと優しさ
それがなければ機械も同然だ
航空機やラジオは世界を縮め
それは人類の良心に呼びかけ
世界を一つに導くことができる
私の声は世界中にひびき
絶望の淵にいる人々へ届く
彼らは支配体制の無実の犠牲者である
人々よ絶望してはならない
貪欲にもたらされた荒廃も
人類の発展を憎しむ心も
独裁者の死と共に消滅する
民衆は権力を取り戻し
自由は再び人々の手に!
兵士よ 良心を失うな!
独裁者に惑わされるな!
君達は支配され
まるで家畜のごとく扱われている
彼らの言葉を信じるな!
彼らには良心も人間性もない!
君達は機械でなく人間なのだ!
人を愛する事を知ろう
愛があれば憎しみは生まれない
兵士よ 自由のために戦うのだ!
“神の王国は人間の中にある”
君の中にも! 人々の中にも!
すべてを創造する力は君達の中にあるのだ!
自由で希望に満ちた世界を!
民主主義の名のもとに一つに団結しよう!
新しい世界のために戦おう!
雇用や福祉が保障された世界のために!
独裁者たちも同じ事を言った
だが口先だけで約束を守らなかった
彼らは思い通りに人々を操った
約束を果たすために戦おう!
世界の解放のため 国境を越え 愛のある世界のために戦おう!
良心のために戦おう!
科学の進歩が全人類を幸福に導くように
兵士よ 民主主義のために団結しよう!
(歓声)
ハンナ 聞こえるかい?
顔を上げるんだ
雲が晴れてゆく
太陽が輝き 辺りを照らし始めた
人類が新しい世界に
そこには貪欲も憎悪も野蛮さもない
見上げてごらん
人間の魂には翼があったんだ
いま飛び始めた 虹の中にも飛び始めた
未来の希望の光に向けて
希望に満ちた未来が我々人類のもとに
だから上を見てごらん