花鳥風月記

流れる水に文字を書く

ハラがコレなんで

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豊洲のユナイテッドシネマにて。
平日ということもあったが、上映前は自分1人しかいなかった。
始まって、結果3名しかいなかった…(苦笑)

タイトルのつけ方はきっと「蒲田行進曲」に由来するのであろう。
大部屋俳優のヤス(平田満)が、銀ちゃん(風間杜夫)の子どもをお腹に抱えた
小夏(松坂慶子)を養う時に言い放ったことば
「コレがコレなんで(小指を立てて、お腹に弧を描く)」ではないかと。

主人公の光子は臨月を迎えた妊婦ながら、
アメリカ人の相手と別れ無一文となり、
子どもの頃「夜逃げ」の時に住んでいた長屋に流れ着く。
そこには今の時代に希薄になった義理と人情、
いわゆる「粋」が残っていて、それが光子の価値観と行動力となっていた。

小さなころの恋と、大人の恋。
恋をしたことのない?世話焼きばあさん
再び夜逃げする光子の両親が折り重なって
ドタバタ劇を演じる。

風に吹かれて、そして最後は福島(映画の設定上)をめざし、
風光明媚な場所で大団円を迎える、
コミカルな人情劇で、ちょっとだけロードムービー

監督は「川の底からこんにちは」の石井裕也
作品の製作がかぶっていた時期もあるようだが、
「川の底…」が「中の下」という不景気な世相を皮肉るとほぼ等置的に
「ハラが…」は「粋」というお寒い世相に対してのアンチテーゼをぶつける。
どちらの作品もおばさん・おばあさん(いわゆるババア…失礼)の存在感が大きい。
世の中はそれで回っていると、本能的に感じているのだろうか(笑)。

よく言えば独特の視点で、
悪く言えばワンパターンな切り口が印象的な映画。
ま、次が「正念場」かな、と…。