花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 「首折り男のための協奏曲」

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短編集でありながら、そのひとつひとつが
微妙に接点があるような、伊坂らしいアソートストーリー。

もともとは、別々の短編を後になって加筆補正して
関係性を持たせたようで、
「終末のフール」のような関連性とは次元が違い、
どちらかというと「あらごし」という感じの、
つまりは、そういった飲み物でも、その味を楽しめるような、
風味のある作品に仕上がっている。

伊坂作品でも人気の黒澤が出てくるのも、
従来からのファンには嬉しいところ。
また、それぞれが着地点に足がつくまえに、
物語がストン、と終わるのが、さらに余韻を楽しませる。

最後の合コンの話の心理描写は
想像の幅の広さに面白みを感じつつも、
単なる人間観察で終わらせず、
ちょっとしたファンタジーの味付けもある。

確かに「あらごし」だが、こういった楽しみ方も
あるものだな、と感じた。