花鳥風月記

流れる水に文字を書く

FOUJITA

大阪九条のシネヌーヴォにて。
伝統のミニシアターのようで、壁一面に
色んな人のサインが書き込まれていた。

東京では、最近シネコンが多くなり、
渋谷などのミニシアターが次々と姿を消していくが、
なんとか続いて行ってほしい…。

寡作で知られる小栗康平の6作目。
先日ツイッターで作家の田口ランディ
素晴らしくて試写会で4回観た、と言っていたが、
素晴らしさよりも、なんで4回も見られるんだ、
という気持ちが強かった。

ま、一回観ただけでは、なかなか難しいのは確か。
ましてや睡眠不足だとかなり厳しい。

藤田嗣治(レオナールフジタ)といえば、
パリで有名になった日本の画家であり、
日本に戻ってからは「アッツ島玉砕」などの
戦争画(いわゆる戦争協力画)を描いていた。
戦後は、それらから逃れるように、宗教画や子供の絵を描いていた、
そんな印象を持つ。

映画では、パリの放蕩生活と日本での戦争画に縛られている
その両極端を映し出すことで、藤田のなかの複雑な心を描いている。
しかし、そこに何が描かれていたのか、ということは
理解できなかった。きっと様々な解釈を小栗から委ねられたのだろう。

そうだよなあ、長い時間かけて、そんな簡単に理解できる映画なんて
作らないよなあ…。観るのも真剣勝負だなあ…。