花鳥風月記

流れる水に文字を書く

新年の辞 2017

あけましておめでとうございます。

昨年は嘆息にまみれた一年ではなかったでしょうか。
安保法案を利用したいために、内戦の戦場と化した
南スーダン自衛隊を派遣しました。
かの地は安全です、と原発以上に薄っぺらい嘘を重ね、
そしてその日々を刻む日報を破棄して、とにかく問題を起こしたい、
そんなあからさまな醜い思惑が見えてきています。

その醜さは、沖縄・高江のヘリパッド、辺野古の埋め立て、
そしてそこに駐在する官憲の汚い言葉にも表れていました。

SNSをめぐる世界は、その醜悪さがさらに異臭を放ち、
見ることすらおぞましい、という生理的な嫌悪感となってしまいました。
もっともそれこそ権力者が用意した「煽動」であり、
状況も理由もわからずにそこに参加する人々が、
狂気と狂喜の中で、文字をならべていることでしょう。

言葉が届かなければ、空気も澱むこととなり、
英国のEU離脱、米国の大統領選など、
「反知性」と言われる選択肢を選ぶまで至りました。

ちょっと考えれば分かることが、なぜそうなったのか。
いうまでもなく、人々が貧しくなったからです。
その貧しさとは、食うに困るという次元以上に、
かつてのような「豊かな暮らし」が享受できないということかと思います。
それは当然です。「グローバル化」という魔物は、
自由経済の参加者を世界の一番安いところから募るのですから。

政府が旗ふる「グローバル化」をありがたがって、
一方で、ヘイトスピーチが横行する。それを政府が是認する。
もはや「嘘」というものが、日本を表す表現と化した、
ということができるのではないでしょうか。

東京オリンピックの開催費、豊洲市場の移転、原発再稼働など、
嘘を嘘で固めるということに辟易としながら、
しっかりと飼いならされてしましました。特にマスコミが…。

為政者は外れやすい「仮面」を付けています。
その中の素顔が見え隠れしても、動じていないようです。

東京都の主も、内閣総理大臣も、いつ剝がれても気にも留めないような感じがします。
唯一、千代田城の主のみ、市井の人々に訴えるように「生前退位」を申し出た。
勿論、こちらも総理取り巻きの「オトモダチ」で形骸化してしまっています。

では何が必要なのか、答えはお隣の国にあるでしょう。
100万人以上が集まるデモによって、与党議員も動かざるを得ず、
大統領が職務停止に追い込まれました。

きっとそこに生きる人々の「本気」が求められているのだと思います。
権力者が垂れ流し続ける「嘘」にどう抗うか。
手元・足元の生活に汲々としながら、
蟷螂の斧の一撃を皆で加えていくしかありません。
それが10万、いや100万となったら、世の中はかわると思います。

そうでなければ、世界からも政府からも「カモ」として
永劫の搾取を被ることとなるでしょう。
そしてもはや、その国は「先進国」ということは適わないでしょう。

先送りしてきたことが、一気に迫ってくる一年になりそうです。

本年もよろしくお願い申し上げます。