花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 三たび 番外編 2017年社説を読んで

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日本国憲法百景のカテゴリも、一年更新せず、
番外の社説を読むが再びめぐってきた。
昨年同様、夏休みの宿題のように月末になってしまう。

今回読んだのは
朝日・毎日・読売・日経・産経・東京・神奈川の7紙。
大まかな情勢からいうと、
イケイケドンドンの読売と産経に
朝日・毎日・東京・神奈川が「待った」を唱え、
日経がどちら付かずでオロオロしている、という感じ。

今回注目だったのは、読売新聞で、
安倍首相が「首相(党総裁)」という肩書で、
2020年に憲法改正を実現、という独占インタビューを
ぶち上げたことだ。
その後の国会での質問でも、「読売を読め」という
トンデモ答弁を行った。

今の政権は、メディアミックスが露骨になっている。
前の総選挙の時には、投票当日に
首相の本の広告が大々的に出たりした。
幻冬舎は首相のオトモダチであり、
本の筆者は元TBSのお抱えライター。
今、醜聞が話題となっていて、そこにも政権の影がちらつく。

今回は、日本一とも世界一ともいわれる読売が
政府の広報誌のような役割を担った。
当然、ナベツネが動いているのだろう…。

巧妙なメディアミックスを意識しているのだろうが、
今となっては「あざとい」の一言しかない。
政権であれ、大きな新聞社であれ、「私物化」が止まらない。

ここでアクトンの至言を思い出したい。
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」
規模が大きければ大きいほど、その病理は大きいともいえる。

現政権は、森友学園から始まり、加計学園の不当な介入まで
問題が大きくなっている。
事実を隠蔽しようとしながらも、内部文書が公になっている。
ここでも告発した前文科省事務次官にたいして、
官邸リークの醜聞を読売新聞が一面に掲載した。

社説に戻ろう。
読売・産経は主に国防の観点から改憲を唱えるが、
言うまでもなく、首相の権限強化も加えている。
狙いは憲法九条。今回は存在をなくすのではなく、
公明党が唱えるような「加憲」を行い、
自衛隊の存在を明文化する目論見となっている。

一方で、秘密保護法や安保法制に加え、現在「共謀罪」の成立につき、
朝日・毎日は警鐘を鳴らしている。
憲法は政権を縛るものだが、法律は市民を縛るものとなっている。
今の政権は、「押しつけ憲法」といいつつも、実際には、
市民へ「押しつけ法律」を強いている。
共謀罪が成立すれば、今回の文科次官のような、権力からの圧迫・恫喝が
どんどん現実のものとなるだろう。

ミサイルが飛んだとかで危機意識を煽っているが、
そろそろ、「個」としての危機意識が市民の中から芽生えてきている。
それをどのように丁寧に、そして勇気をもって報道するかが、
新聞社の命運を決めるだろう。