花鳥風月記

流れる水に文字を書く

八重子のハミング

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有楽町スバル座にて。
山口県萩市に住む実話に基づいた映画。

主人公は、4度のがん手術を経験し、
奥さんは若年性アルツハイマーを患う。
その12年間にわたる介護を追ったストーリー。

資金集めや撮影など、制作までに様々な困難があった様子。
奥さん役の高橋洋子さんは、文筆業から
28年ぶりに俳優として映画出演をする。

作り手の並々ならぬ意志の強さが伝わってくる。

次第に消えてゆく記憶。
それを「少しずつ別れを告げている」と受け取って、
日々の厳しい介護に捧げる主人公。

場内ではすすり泣く人が多かった。
個人的にもじんわりとくるものがあったが、
いくばくかの違和感もあったのも事実。

介護をすべて個人が請け負っていることを是とするか否か。
そういう時代でもあったと思うが、
どことなく複雑な心境になった。

ここ最近の山口県出身の首相が唱える
憲法改正は、個人をなくし、家族に偏重するきらいが
なんとなく重なってしまった。

良い映画だと思ったが、
作り手の思いの強さは、時として両刃の剣にもなるかな、
と思った。