花鳥風月記

流れる水に文字を書く

AZUL(アズル)―山形国際ドキュメンタリー映画祭89―

イメージ 1

今回、山形へ行った主目的は、この映画を観るためであった。
今から15年ほど前、大学での飲み会のあと、帰る電車もなく、
何となく意識していたこの映画祭の上映会が池袋であった。
今はきっとない(だろう)西武・パルコ系列の映画館のオールナイトだった。
眠くなる意識と向かいつつ、印象に残ったのが、この映画だった。

ニカラグアの映画という、珍しいシチュエーションは勿論、
「詩人の国」と呼ばれる国と、サンディニスタ政権による
社会主義革命のドキュメンタリーに興味があった。
そこには、常に貧困があり、アメリカ(富)があり、打ち克つには
革命しかない、という状況下で、決してどちらの側に付く、ということもなく
時には銃撃戦も遭遇しながら、映像は続いて行く。

映画の解説にも、「流行おくれなところ」とありながらも、何か人を惹きつける。
それは、人間の明るさと現実の厳しさが活写されているからに相違ない。
そして、その詩に含まれる突き刺さるような「言葉」が、15年の時を経ても、
忘れさせない力を持っているのだと思う。
今回、いろいろ探し、映画がフィルムライブラリーで視聴可能、ということで、
山形まで、足を運んだ。映画中の詩については、スタッフの方の助力も頂き、
記録することができた。(わがままを聞いていただき、ありがとうございました)
15年待ち望んだ、詩を以下に書き留める。

“地球は月の衛星”  ルガマ
アポロ2号は1号より高かった
アポロ1号は結構高かった
アポロ3号は2号より高かった
アポロ2号は1号より高かった
アポロ1号は結構高かった
アポロ4号は3号より高かった
アポロ3号は2号より高かった
アポロ2号は1号より高かった
アポロ1号は結構高かった
アポロ8号はすごく高かった
でも宇宙飛行士は新教徒なので、感じてなかった
月面から聖書を読んだ
地上のキリスト教徒は喜び驚いた
パウロ4世が来て彼等を祝福した
アポロ9号は8号までの会計より高かった
1号同様、結構高かった
アカウアリンカの住民の曽祖父母は祖父母より飢えていなかった
曽祖父母は飢えで死んだ
祖父母は父母程飢えてなかった
祖父母は飢えで死んだ
父母は息子や娘程飢えていなかった
父母は飢えで死んだ
住民はアカウアリンカの子供程飢えていない
子供達は飢えの為、生まれない
生まれたいと飢えているのに
貧しき者は幸いなり
月は彼等のものになる

この詩を朗読するシーンは、まさに「まばたき」も惜しかった。
山形国際ドキュメンタリー映画祭は、今年で10回目だそうだ。
10月4日(木)~11日(木)の日程。続いているのが嬉しい。