花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (34)

裁判所の思い出

大学生の頃、東京地裁に裁判を傍聴しにいったことがある。
直接のきっかけは、本多勝一の「貧困なる精神」での予告だった。
TVドラマでは、荘厳な感じで、威厳のある裁判官が「せえーしゅくに!」と
木槌かなにかをカンカン、と打ちつけるようなイメージを持っていた。

せっかくだったので、早めに行って、他の裁判も見てみようと思った。
初めて知ったことは、どんな裁判でも見ることができる、ということだ。
勿論多ければ、傍聴券が必要だが、それ以外は、時間がある限り、当然無料で見られる。

最初に見た裁判は、よく覚えていないものの、金銭トラブルのものだった。
TVのシーンと同じように左右に原告・被告(どちらも代理人の弁護士)がいて、
正面から裁判官が登場。
何を話すかと思いきや、二言三言話して、いきなり手帳を広げて
「じゃあ、次はいつにしますか」とスケジュール確認、そして終了。
ものの10分もかからなかった。
「はあ、こんなもんか」と思ったのが、初めての裁判経験だった。

その後、昼食をとりに地下の食堂へ。
官公庁の地下食堂は、安い。それこそ地価に反映されてない。
公務員はつくづく恵まれている、というか「守られている」気がした。
酢豚定食を食べていた人が、たくあんで丁寧にタレをそぎ落として、ご飯にかけていた。
セコイと思いながらも、以後は自分も見習うことにしている。

本多勝一の裁判は、よく覚えてないものの、結構盛況で、
騒ぎ出して「退廷」を命じられた人もいた。本人もいるかと思ったら、いなかった。
ただ、普段見かけることのない、一般人とかけ離れた風体のひとが何人かいたのが、
印象的だった。

その後、裁判所に行くことも、お世話になることもないが、
考えようによっては、「ひまつぶし?」には最適なスポットかもしれない。

第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。