花鳥風月記

流れる水に文字を書く

おそいひと

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渋谷のシアターNにて。
重度の脳性まひの主人公が、日常の感情のもつれから
殺人鬼に変容してしまうストーリー。
障害者を殺人犯にすることに各方面から非難があり、
結果、公開まで3年を要した。
公開に至った経緯も、海外での評価が良かったから。

観て思ったのは、いろいろな挑戦と試行錯誤があった意欲作であること。
障害者でも、良く呑み、着飾る。そんな普段から「常識」を被せる
一般人からみれば、インパクトに強い作品に違いない。
劇中の音量も確かにライブハウスのように大きい。

揉みあうシーンや、殺人を犯すシーンは、映像と音楽が様々な破綻を
焦点を敢えて外すことで、その狂気が増殖してゆく。
なかなかズシン、と来る作品だった。

ここにも、ラストシーンはありえない設定はあったものの、
それは、恐らく主人公が趣味としていたガチャガチャの中身が
コラージュとして出てきているのだろう。