花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(86) 春の別れは背脂にのせて

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桜がそろそろ見ごろになる。
日々の中で、雨や風がこれだけ気になるのも
この季節ならでは、だろうか。

駅に向かう親水公園の枝ぶりも桜色に染まりつつある。
日に日に暖かくなりながら、かといってコートが
手放せない。

今日も朝から晩まで仕事。ここ最近、日のめぐりが
分からなくなる。
あっというまに3月が終わろうとしている。
今日は、永らく勤めていた学生バイトが「卒業」する。
今までの頑張りを労(ねぎら)い、終業後、
おすすめのラーメン屋で遅い夕食。
今日は、信念を曲げて、9時以降に食べる。
友情は贅肉よりも重い、と考えながら、
実際は贅肉のほうが重いんだよなあ、と後々考えた。

高田馬場にある「麺友一誠」は、すでに混んでいた。
ビールと餃子などをつまみつつ、思い出を話す。
ラーメンは、皮付き辛ラーメン辛さ弱めの大盛り。
チャーシューがやわらかいブロックでしっとりとしている。
スープは、これ以上は「辛い」と感じる
絶妙のタイミングで止まっている。
総じて美味だった。

別れ際、ようやく実感が湧く。
駅で別れるとき、握手をした。
「人生の良き旅を」 はなむけに贈った言葉。
まるで北斗神拳の道士のような科白だったが、
少し目頭を押さえるそぶりをしていた。
見渡すと、そこかしこで別れに涙する人たち。
ああ、別れの季節なのだなあ、と感じる。
しかし、週が改まれば、そこからは出会いの季節。