花鳥風月記

流れる水に文字を書く

ツォツイを見た

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映画『ツォツイ』を見た。
「不良」を意味するその言葉は、ギャングという稼業?のなかで、
ふとしたきっかけで、赤ん坊を誘拐することになり、
いつの間にか人間らしさや人の温かみの恋しさに目覚めていくストーリー。
少年が人を殺すシーンがある、ということでR-15指定らしいのだが、
他の戦争映画の方が、よっぽどよろしくないような気がするのだが…。
ともあれ、南アフリカの文化表現のなかで、
言いようのない「暴力」が存在し、その耐え難い重しのなかで
ひとは生活していく。
前にブッカー賞をとったクッツェーの「恥辱」なんかも、
結局は大きな「暴力」に取り込まれていくさまが、
なんとも後味の苦い印象を持ったことがある。

ただ、「ツォツイ」については最後はすこし希望のある終わり方で、
乳を含む赤ん坊への視線や、駅でぶつかった物乞いへの態度などが
前半部分との対照的で、さらに主人公デビットのラストシーンの
白いシャツにイノセントなイメージが際立っていた。