花鳥風月記

流れる水に文字を書く

パラダイス・ナウ

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恵比寿の写真美術館で、『パラダイス・ナウ』を見る。
こちらは、パレスチナ人の自爆テロを扱った内容で、
主人公のサイードと友人が、地下組織から自爆テロのメンバーに
選ばれ、その気持ちの高揚と、実行当日に起きた様々なトラブルを
追った、設定としては2日間のストーリー。
表現として秀逸なのは、
この映画では、いわゆるバイオレンスなシーンはない。
ただ、所々の銃声と、全力疾走するシーンが
何か心に焦燥感を与える。
次第に自爆テロの無用性を感じ、テロをやめさせようとする友人と、
密告者を父に持つ主人公の重苦しい人生が最後に交差する。
しかし、どうしようもない宿命、といったものが、
ラストシーンの白い画面に残されていたような気がした。