花鳥風月記

流れる水に文字を書く

闇の列車、光の旅

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有楽町シャンテ・シネにて。

ホンジュラスグアテマラからメキシコを通って、アメリカまでの移民を描く。
ヒロインのサイラと父・叔父は、移民列車の屋根に乗って、アメリカまで目指す。
そこで、メキシコでギャングをしていたカスペルと出会う。
カスペルは、組織の理不尽で、恋人を失っていた。
無防備で、ひたすら暴力に屈服する移民たちと、暴行されそうになったサイラを見て、
ボスを殺し、絶望と逃亡の列車行を覚悟する。

父親の危惧をよそにサイラは、カスペルに引かれ・頼ってしまう。
やがて、カスペルが人知れず列車を降りたところを、サイラも後を追ってしまう。
逃亡の第2章となった、別々の行動で、父は命を落とし、叔父は強制送還される。
サイラもリオグランデ川を渡ったが、カスペルは追っ手の、三下の子供の銃弾に斃れる。

中南米の若者の絶望や、移民の厳しい現実を追いつつ、
単なるロードムービーに終わらないリアリティを兼ね備えている。
ここ数年見てきた、「BABEL」や「クロッシング」にも通じる
「越境」が意識される。それは、国境がそのまま生命の境でもあるかのような
「せつなさ」や「やりきれなさ」が募る。