花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 『バイバイ、ブラックバード』

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6月末に双葉社から刊行。
ガイド本も出たらしい。(なんかどっかの作家をなぞるような…)
ただ、この小説の元になったのが、郵便を使った小説、というのが特徴的。

気は優しいが、無計画が徒となって、
借金を抱え、2週間後、謎のバスにドナドナ状態の運命にある主人公
星野一彦が、「管理人」で巨大な体躯が特徴の繭美とともに、
優しいが故の5股にかけた女性に別れを告げにまわる、
プチ・ロードムービー仕立ての小説。

シリアスなサスペンスというよりは、
『オー!ファーザー』や『砂漠』に近い青春群像(?とまではいかないか)
というか、読んでいてどことなく心温まるストーリーを紡(つむ)いでいる。
その温度は、セリフや言葉遣い、というよりは、展開するストーリーに
その任がある、というのが伊坂らしさであるようだ。

最後は、その温かさが、「管理人」繭美にまで伝わって、
それからどうなる、というところで、この短いストーリーは終わる。

しかし、この繭美、読んでる最中から、イメージが固まってしまった。
どう考えても、マツコ・デラックスしか思い浮かばない。
ま、それはそれで想像しやすかったが…。

映画化したら、絶対、繭美はマツコだな、と思った。(笑)