花鳥風月記

流れる水に文字を書く

井上陽水奥田民生 「AとB」

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ソニーがカセットのウォークマンの販売を終了した、とのこと。
カセットテープそのものが、既に過去のものとなりつつある。
しかし、レコードよりもコンパクトかつ、手軽であった分、
様々な思い出のなかに残っている。

やはり最初のインパクトはラジカセだろう。
革ジャン・リーゼントのお兄ちゃんが、
シルバーの、今から見ると、とてつもなく大きなラジカセを
肩に担いで、電車のドアの端っこに佇む姿を忘れられない。
それは、実際見たものか、テレビのイメージかも思い出せないが、
それが流行だったのだろう。

ラジオから流れる曲を録音することをエアチェックといい、
確かラジオの番組表も結構詳しかったので、
いざ録音、というときには録音ボタンにタイミングに指を震わせた。
玉置宏ばりの曲紹介は、正直、むかついたときもあった。
何となく録音したものが、一体何の曲か分からないものがある。
結構しつこく探すほうだが、見つからないものがまだある。

時には、テレビの前に陣取って、録音もしたことがある。
思い出すのは、モンキーズのテレビ番組
テレビのスピーカー前にいた時、そして
ライン入力を知った時は、「凄い便利だ」と思った。

ウォークマンが出始めたのは、中学3年生くらいのことだろうか。
最初に買ったのは、ソニーであっても、
ラジオ付きのウォークマンもどきだった。
カセット2個分くらいの大きさだが、
それでもコンパクトに思い、カバンにしのばせながら高校へ行った。

その後、様々な種類が出て、何台か買い続けた。
レコーディングウォークマンや、ドルビーCまで搭載したウォークマン
液晶リモコン付きや、鏡のようなデザイン重視のウォークマンなど。
録音元がレコードからCDに変わっても、手軽さで使っていた。
ポータブルCDが大きく、「音とび」が結構あり、
カセットウォークマンは生き残った。

大学は、片道2時間かかったので、音楽は欠かせなかった。
大体、2~3本のカセットを持っていた。
いつからか、自分の好きな曲だけを編集したものも作り、
未だ、自分の部屋の結構なスペースを占めている。

MDが出た頃から、趨勢が変わったようだ。
しかし、これ以上、音楽メディアはついていけない、と思い、
MDは拒んだ。

そして、今の携帯端末プレーヤーがトドメを刺したようなかっこうとなった。
確かに便利だ。
今はまだ購入していないが、きっとこの種のウォークマンは買うだろう。
カセットの音源が落とせたらいいのだが…。

前置きが長くなったが、井上陽水奥田民生のユニットで、
1997年に発表された「ショッピング」の中に入っている。
当時外回り営業で、日がな車に乗っていたので、
たまたま付いていたCDチェンジャーに入れてよく聴いていた。

この「AとB」はカセットテープを唄ったものだが、
この曲にある描写がなんとも井上陽水らしいリアルさがあり、面白い。
「カラフル」なんかと同じく、どことなく艶かしさがある。
あと5年したら、この曲の意味の分からない子達も出てくるのかなあ…。
きっともう、ポケベルやピッチは知らないだろうし…。