花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(227) インド・ヨーロッパの衛生感

今日のニュースで気になったことは、
原発事故の影響で、インドが日本の食料品を
当面禁輸する、とのこと。
それよりも早く、地震が起きて間もなく、
原発の件で、フランスはいち早く在外の自国民に
脱出勧告を出している。

自分の偏見かもしれないが、
インドというと食品衛生に割と大らかな印象がある。
ちょっと危なさそうなものでも、スパイスを利かせた
カレーで賄うことができる、といった印象。
旅行した人が度々、腹を下した、ということを聞いたこともある。
フランスは、下水道の整備がおくれ、
衛生的にもどうかと思う歴史的な街づくりだったイメージがある。
だから、香水の類が流行るのだろうという勝手な思い込みがある。

しかしながら、どちらも放射能には、割と敏感であるなあ、と感じた。
五感で覚えるものに対しては耐性ができ、ある種大らかなのかもしれない。
しかし、その受容体を超えるものには、もしかすると過敏なのかもしれない。

もっとも、どちらの国も、核兵器を所有し
フランスは世界2位の原発推進国でもある。
それが故に怖さを知っているのだろうか。

食品に関する日本人の衛生観念ほど、過敏なものはないと思ってきた。
しかし、生命を守る、といった視点は、明らかにインド・ヨーロッパの方が、
直接的に政府と国民が敏感に反応している。
そして、日本の姿が、海外でどう映っているかは、
この2国の反応から推察するに、深刻な状況なのかもしれない。

勿論、どちらが正しい、というには、判断の根拠となるものが、明らかに乏しい。
そして我々は、そこにあるものを、状況が分からなくても、摂取せざるを得ない。
それが「今は安全」といったものが、「実は…」となるとしても、だ。
安全が、強い立場の人間の手元にあるほど、悲劇的なものはない。