花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び 番外

イメージ 1

2011年5月3日社説を読む

今年の憲法社説は、東日本大震災に関連した内容が多く見受けられた。
例年、朝日・毎日・読売・日経・産経・東京を読んでいたが、
今回は、webで河北新報福島民報福島民友中国新聞沖縄タイムス琉球新報まで
目を通してみた。

まず気になったのは、読売・日経、そして中国新聞憲法を取り上げていなかった。
不戦敗というべきか。特に、読売に関しては識者の対談などで「丸投げ」してしまった。
来年かその先あたりで「社論」が“分裂”することを見越しているのかもしれない。
憲法改正のトーンは、明らかにダウンしてしまっている。
産経のみ、憲法96条の改正をテコに、という「主張」を行っている。
それも一つの意見としては参考になるが、折角のこの記念日に
自衛隊のみなさん、米軍のみなさん、ありがとう。」という
幸福実現党の全面広告を載せてしまっていることに、その価値が見透かされる。

そして朝日については、「公と私」という問いかけだけで、
全く踏み込めていなかった。
文字が大きくなり、字数が減ったにせよ、あまりにも情けない。
朝日・読売・日経によるよみくらべ「あらたにす」というのも、
内容がなければ比べようがない。
おそらくこの3社は、従来の「新聞」という衣を捨てて、
「情報産業」という業態に突き進むのだろう。
紙面が変わって、やたらと筆者の顔写真も載るようになったが、
大したことも書かずに顔を売り出すことからしても、そうなのだろう。

やはり興味深かったのは、毎日と東京。どちらも13条と25条について
正面から論じていた。毎日は特集まで組んでいた。
東京にいたっては、25条の成立の小史まで載せていた。

変える前にまずは何ができるか。それが今もっとも必要な議論であり、
従来までの憲法改正議論がいかに薄っぺらいものであったかが、今回明らかになった。

河北・福島民報福島民友琉球新報とも、
現状から「基本的人権」を訴えたものが印象的であり、
沖縄タイムスは、それでも沖縄戦からの戦後を問う。

そう、あらゆるものの帰結点が憲法にあるのだろう。