花鳥風月記

流れる水に文字を書く

THE QUEEN

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仕事の合間を縫って新宿で観る。
ストーリー自体はダイアナ妃の事故死をめぐる1週間の王室の動きを克明に描き出している。
王室としての威厳と、民衆の声、そして若きヒーロー?(ブレア)の出現。
様々な状況の中、国家元首として40年以上君臨した自負と、市民の小さなメッセージに
こめられた憎しみに翻弄されながらも、気丈に生きる女王像が印象に残る。
英国王室という注目度と、アカデミー賞を獲ったということもあってか、
観客は、みのもんたでいうところの「中高年のお嬢様」が圧倒的に多かった。
以前、日比谷でも観ようと思って諦めたときにも、そう思った。
映画の中で、チャールズ皇太子は、なんとなくうだつの上がらない息子像を演じていて、
見方によっては、王室版「渡鬼」まで落として観ることができる。
ただ、この映画については、何に注目するかで印象も確かに異なってくる。
ダイアナ妃への悲しみ?と間近に見えた立派な鹿が撃たれたことによる憐憫の対比や
バルモラル城での生活もただ引きこもっているのではなく、その土地を詳しく把握していること。
また、女王自ら自動車を運転し、故障のときに整備士?の経験で状況を把握するなど、
けっして世間離れしている存在ではないことも表現されている。
いわゆるゴシップ・パパラッチという低俗な次元から、国家・王室という厳粛なところまで
携わる人間の幅の広さと、その時々の人間社会の感情・ムードをかなり客観的に表そう、
という苦心も伺える。但し、最低限のルールなのか、王室の是非についてはあまり触れないように
していたようだ。きっとそれを持ち出すと、展開にある種の飛躍と違和感が生じるからだろう。
それにしてもブレアはこの映画ではなんとまあカッコいいことだろう。それが今となっては皮肉的で
それも映画を面白くしている遠因かもしれない。