花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (45)

期間満了前に終了


子どもの頃に読んだマンガだったから、
どんなマンガに出ていて、どういったエピソードだったかは忘れた。
もしかしたら、「レース鳩アラシ」だったか…。(きっとわからんだろう)

三十三間堂の「通し矢」の話。
大矢数といって、一昼夜で、どれだけ通し矢を射ち、的中させるかという競技で、
星野茂則(勘左衛門)という人物が、当時の記録を塗り替えたという逸話で、
その本人について触れられていた。

確か、一度最高記録を作った後、慢心したかどうかで身を傾かせ、
さらに記録を更新され、再び大矢数に挑んで再度記録更新をした。
そして、一昼夜という時間には、まだ時間があるのに、的中8,000本で、
余力を残して競技を終わらせた、とのこと。

後に和佐範遠(大八郎)が記録に挑み、調子を落とした時に
星野が現れ、左手のうっ血を小刀で切ってなおし、
最後は8,133本の新記録を打ち立てた。

ここでは、大八郎の若く一途な想いと、
人生経験を経た星野の包み込むような優しさが印象的な逸話に思えた。

さて、翻って現代を見ると、むしろそんなこととは逆で、
人生経験を経た人間の方が、どことなく狭隘な印象を拭えない。
議席があるうちに何とかしよう、というのが、政権交代前も後も
結局はかわっていない。

余力とは、「心の余裕」でもあり、
余計とは、「心の隙間」でもあるのか。


第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。
      但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。