花鳥風月記

流れる水に文字を書く

演劇1・演劇2

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渋谷のシアター・イメージフォーラムにて。
この夏は、さしたる面白い映画がなく、また、
仕事が忙しく、しばらく映画が見られなかった。

久々の映画は、1・2合わせて6時間弱。
以前も11月に頭脳警察のドキュメンタリーを6時間かけて観た。

平田オリザという劇作家を追った想田和弘監督のドキュメンタリー。
以前、「選挙」を観た。

観察映画という、フィクションを一切排して、
被写体をしっかりと映し出す。
街中の風景(ネコが多かった)が、効果的なコマ送りとなり、
映像の盛り上がりは、むしろ消音状態にして
観客の想像力に委ねようとしていた。
これは、映画の中で、平田がいう演劇の世界の手法ではないかな、と。

非常に緻密な(とくに時間や間)演技への要求は、
厳しさよりも、哲学を感じた。
その精緻な構成がやがて日本を超え、海外でも評価されるようになった。

また、積極的に、いろいろなものに「まみれ」ようとしている。
芸術、特に演劇は経済観念がしっかりしていないと、
考えてモノを作り出すことすら、実現しない。

政治家にも積極的に交わる。
面白かったのが、鳥取県でのワークショップの立ち上げ講演の際、
鳥取県知事のあいさつの後、鳥取市長の乾杯の音頭があった。
鳥取県出身の…」といったところで、知事が落下傘候補
(前任の知事の後継者)であることが図らずも露呈する。
そういうところも、風景にしながら、演劇のドキュメンタリーは続く。

平田オリザを見て思うのは、「求めるべきもの」と「極めるべきもの」が
自己の中で峻別されていて、感情にものすごく抑制が利いていることだった。
様々な交渉事の中から培われたものであろう。
だからこそ役者を、そして相手を
感情に任せた全否定など行わない。
視線もかなり低いところから
じっくりと観察している気がする。

長時間であったが、内容に飽きることはなかった。
想田監督の映像手法もさることながら、
平田オリザの強烈な個性と
それを支える劇団のコミュニティの深さが、
深い印象に残った。

演劇をやりたいと思う人は、是非。