花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (79)

審査に関する事項


東京都知事選挙は、ある意味、予想通りとなった。
政権が推薦する、舛添要一氏が200万票あまりで当選。
脱原発でありながら、2分されたかたちで、
宇都宮健児細川護熙とも、100万票足らずで敗れた。
猪瀬前知事の際には400万票から見ると、
今回の当選者の獲得票はほぼ半減、投票率も15%超低下したらしい。
ま、前日の大雪もあって、無党派層の票が伸びなかった、
ということもあるのかもしれない。

上記とは別に、極右?と目される田母神氏が60万票、
ネットを駆使した候補の家入氏が8万票を獲得した。
今回は、16名の候補者がいて、「よりどりみどり」だったかもしれないが、
特に迷ったのは、宇都宮氏と細川氏のどちらに投票するか、
ということではなかっただろうか。

ちなみに「宇都宮氏と細川氏」と言っているのは、
単に獲得票順だけなのだが、おそらく今となっては、
その順序ですら、党派性を指摘する御仁がいるかもしれない。
そうなると、もう泥仕合になってしまうが…。

脱原発の一本化の選択肢はなかったのか。
それぞれの思惑があったのだろう。
市民運動と党派性の確執は、以前から仄聞することもあったし、
運動を体制に持っていくには、相応の組織力も必要となる。

ただ、唯一、気がかりだったのが、細川氏を推す人々の判断基準だった。
知事選候補となる際に、公約なり理念が明らかになる前に
支持を決めてしまったことだ。
そこに、いまだ人気の高い小泉純一郎氏が応援という
「2トップ」が、時の政権を揺るがすインパクトになると思ったのかもしれない。
支持する文化人?の方々の意見は、「勝たないと意味がない」ということだろう。

しかし、「2トップ」といってまず浮かんだのが、
携帯電話(今ではスマートフォン)のドコモの戦略だった。
あれは、一敗地にまみれた上で、iPhoneに頼るようになってしまった。
少ないかもしれないが、そんなネガティブにとらえることも
あったのではないだろうか。

また、2009年の民主党政権交代の時の鳩山由紀夫菅直人
そして「壊し屋」小沢一郎との食い合わせの悪い感覚が
根強く残っていたのではなかろうか。

そして、「小泉劇場」と言われる演説も、
面白いうが、もうウンザリ、という人もいたのではないだろうか。
細川氏も、応援する人の迫力に押されて、元気がなかった感じだったし…。

ある意味で、宇都宮氏が2位、というのはそれだけ投票者が、
じっくり考えて投票した、ということに違いないだろう。
そういう意味では、投票する人々の考えが良く表れている選挙だった。

だからこそ、残念なのが、細川氏支持に至った人々の経緯が
一体何であったのか、ということだった。
「勝てる」「負ける」の判断が結局は旧態依然の発想であったり、
どこか「投票民」を低く見たりはしていなかっただろうか。
付け加えておくとこの「投票民」とは、彼らを取り巻く
「市民」グループとは別の、「票数」でしか見ない対象の人たちのことをいう。
そんな見方が、結局は「考える投票民」に見透かされてしまったという気がする。

市民社会の成熟のプロセスを焦ってはいけない、そんな感じを持った。


第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の
      裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣で
      これを任命する。
    2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院
      議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて
      行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
    3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、
      その裁判官は、罷免される。
    4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
    5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
    6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
      この報酬は、在任中、これを減額することができない。