花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎 『死神の浮力』

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去年買って、読み差しのままだった。
「45歳のぼうそう野郎」となったついでに読み直す。

最初、仙台をイメージしながら読んでいたら、
舞台は東京で少し戸惑った。
震災の影響もあったのだろうか…。

小説家・山野辺遼夫妻の娘の菜摘が、
近所に住む本城崇という若者によって殺される。
この若者が、裁判で無罪となって釈放されたところから
ストーリーが始まる。
勿論、死神の「千葉」が出てきたことから、
ストーリー設定は7日間。

本城は、「25人に1人」という冷酷な人物で、
サイコパスという設定。
その残酷さは過去作「マリアビートル」で描かれた
若者(というか少年)を凌ぐ。

本城にも同業者の「香川」がつき、
死神の世界にも「寿命還元セール」なるものが割り込み、
どちらが先に「死」を迎えるのか、
という時間的なドキドキ感も加わる。

「千葉」の登場の際には、必ず雨天という
状況設定にも重苦しい空気が漂う中、
彼の超人的な(といっても、死神だから人でない)
キャラクターが生きて、溜飲を下げるような大団円を迎える。

読みきるには、精神的にシンドイ部分もあるが、
なんとか頑張って読みきろう(笑)。