花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景・再び (101)

権限


5月に入り、様々なことが起きた。
安倍政権は、安保法制の変更を閣議決定した。
これにより、集団的自衛権自衛隊が自国と関わり合いのない場所まで
派遣され、場合によっては戦闘状態に巻き込まれるようになる。

また、大阪では都構想をめぐる住民投票が行われた。
結果は僅差(約1万票差)で反対が上回った。
その結果を受け、橋下大阪市長は、任期満了をもって
政界から引退する、らしい。

上記二つの動きは連動性がある、と言われていた。
かりに大阪都構想(実際には都にはならず、単なる大阪市の解体)が
賛成となれば、政権が望む憲法改正への弾みがつくと思われていた。

今回、その意には適わなかったものの、それで解決、というわけではない。
それよりも、もっと深刻な問題が生じているような気がする。

一つには、この住民投票が僅差、つまり半分は賛成していた、ということ。
仮に市長が引退しても、次の市長は、意見が割れている状況をまとめ上げ、
さらに、旧態依然の問題に取り組まなければならない。
福祉・インフラを元に戻すだけでも
「反動的」というレッテルが貼られるのかもしれない。
そういった意味では、橋下市長は随分と高い位置から
大阪を見下ろす(あるいは見下す)ことの権限を手に入れた。
その権限も膨大な税金を使ったわけだが…。
なんとも「爽やかな敗戦の弁」が印象的だった。

もう一つには、今回の住民投票について、ある種の分析が進む、ということだ。
今回の結果をハイエナのように分析する輩は存在し、
次の投票、それが国民投票に反映される恐れがあることだ。
つまり、「終わった」ようでいて、実は「始まり」と考えるべきなのかもしれない。

恐らく、今回から学んだであろうことは、
僅差よりも「雪崩的な勝利」が必要であり、
世代間からいうと、高齢者層に浸透するか、
あるいは今の高齢者層がいなくなるようなタイミングを見計らう、
ということであろうということは容易に想像できる。

より、言葉と時間の勝負が先鋭化するように思える。


第百一条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立する
     までの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。