花鳥風月記

流れる水に文字を書く

FAKE

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阿佐ヶ谷のユジク阿佐ヶ谷にて。

2年前に話題となった佐村河内守氏を追ったドキュメンタリー。
森達也監督作品。久々のドキュメンタリー作品とのこと。

この作品では、過熱・過剰な報道に対し、
佐村河内氏がどんな人物であったかを改めて映し出している。
そして決して彼の肩を持つことはなかった。
彼のとの信頼関係を醸成しつつも、互いに意識的に牽制しあう。
この牽制の感覚は、実はすべての部分に用いられ、
取材に来たフジテレビのスタッフ、
そして自らが手法とするドキュメンタリーについても
肯定と否定の間で綱引きをする。

関係者(新垣隆氏、フリージャーナリストの神山典士氏など)の
登場はなく、ひたすら佐村河内夫妻のみが映し出されている。

豆乳をがぶ飲みし、大きなハンバーグを食べる。
騒動以来、自宅にこもっているらしく、
生活はどうしているのだろうか、と思ったが、
印税か何かの収入や蓄えがあるのだろうか…。

フジテレビの記者やプロデューサーが何度か来たが、
その真顔と現実の薄っぺらさが如実に描かれていた。
それは、同業そして本人にもあてはまることがありそうな危険な表現だろう。

外国人ジャーナリストの質問が鋭い。
むしろ、日本のマスコミが何を追っていたのか
その滑稽な構図が浮き彫りになった。

最後のシーンは、FAKEという題目の真骨頂のようだ。
時系列でありながら、取材の日時ははっきりせず、
最後に「何か自分に隠していたり、うそをついていることはありませんか」と聞き、
佐村河内氏が沈黙の間にフィルムが終わる。まさにFAKEだ。