花鳥風月記

流れる水に文字を書く

White & Black

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1月に2冊の本を読んだ
瀬尾まなほ『おちゃめに100歳!寂聴さん』と
伊藤詩織『Black Box』だ。

筆者の二人はほぼ同い年(1988年と1989年生まれ)だ。
表題を「White & Black」としたのは、
本の表装にも、書いてある内容にもつながっていくような気がする。

読後感は対照的でもあり、
しかし生い立ちに似通うところもあり、
直面する現代社会の問題の一端は同じものに思える。

生い立ちに共通しているのは
中学生の頃にいじめに遭い、その解決の糸口を
新しい世界(留学)に求めたこと。

それ以上の同じ・違うという比較は
あまり意味をなさないかもしれないが、
つくづく「縁(えにし)」という言葉を
考えさせるような思いがした。

瀬戸内寂聴との出会いで、いままで気づかなかった
様々な社会問題に触れ、意識的にも新たに開かれた「世界」と
TBSの政治記者、山口敬之の性暴力によって閉ざされ、
その現実や問題を追うことで絶望的な環境から新たに求める「世界」と
立ち向かう問題の大きさや社会の病理は同じように思えた。

この二人につながりや連帯といったものが
生まれてくると、また何かが変わってくるような気がする。

珍しく一気読みをした二冊だった。