花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(16) 本屋の品格

国家の品格」と言う本が、ちょっと前に流行ったが、自分はあまり関心がなかった。
理由は、著者の写真がいろんなところで見受けられ、その髪型が「品格」に欠けている
ような印象をもったからだ。
大体、「品格」という言葉は上から目線で今ひとつ受け入れられない。
ただ、「上品さ」ということで、コンサーバティブ(保守的)な心情に
訴えることがあることは、了解している。

高田馬場で、唯一「まとも」と思われた芳林堂書店が部分改装をした。
主に人が良く来る3階のレイアウトが変更された。
普段見慣れたレイアウトが変わるのもストレスだったが、陳列している
本の質の低下も感じられた。
例えば、各紙の書評で取り上げられた本のコーナーがなくなり、
売れ筋と見込まれた本を何列も平積みしている。
こんなのは、郊外型の無教養書店といわれる文教堂と同じではないか。

確かに高田馬場の立ち位置は、池袋・新宿に挟まれている。
紀伊国屋ジュンク堂タワーレコードやHMVといった本や音楽の大型店舗がない代わりに、
芳林堂やムトウのように、大きくはないものの、知的好奇心に誠実に応える店がある。
まあ、最近の大学生の無教養化も遠因としてあるのかもしれない。

以前、タワーレコードでも同じようなことを書いたので、もううんざりかもしれないが、
最近、音楽も本も「楽しむ」というより「消費」する、というような傾向になっているのが
気がかりだ。こういった部分は頑固に「品格」を求め、「保守的」でありたい。