花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(18) 音楽端末の変遷

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先日、ひょんなきっかけで、レコードのシングル盤が我が家に来た。
いわゆる「ドーナツ盤」で、幸いにもレコードプレーヤーがあったため、聴く。
左卜全の「やめてけれ~」という唄や、「黒猫のタンゴ」「アタック№1」など、
恐らく元の持ち主は40台の女性だったのではないか。

記録や資料としては、今聴いても面白い。
ただ、音楽を聴く機械は、ここ10年くらいの間で、また大きく変わった。

以前、烏賀陽弘道の『Jポップとは何か』『Jポップの心象風景』を読んだ際、
いかに日本の音楽が「産業」として発展したかを知った。
いわゆる「J」という言葉に幾ばくかの抵抗感も持った。

まともなステレオが買えたのは、1989年。ちょうどCDが出て数年のころ、
アルバイトで貯めたおカネをはたいて、買った。30万位するミニコンポだった。
ニコンポといっても、重量は20キロ以上ある。箪笥の上に置いたが、常に軋んでいる。
その2年後にはミニミニコンポができ、省スペース化・軽量化が進み、
CDからMDに変わった。MDプレーヤーもSONYの割と高い機種で
スピードピッチコントロールができるものを買った。4万円。
しかし、MDウォークマンを買わなかったことと、ミニコンポにつなげられなかったころが
災いし、ほとんど使わずにいる。(実際、ミニコンポはDAT対応だった)
MDソフトも、一時期、CDショップにもあったが、いまでは殆どない。
かろうじて買ったMDはボブ・ディランという有様。

そして今や、携帯端末プレーヤーになり、街ゆく人がどうやって音楽を入手しているのか
分からないような按配になった。

レコードからの人は音質にこだわっている。確かに真空管のやわらかい音は、
時々喫茶店などで聴くと、違いが分かる。CDも質の向上があり、クラシックを中心に
SACDが出ている。これも、ミニコンポのCDが壊れてSACDを購入したが、
アンプが対応できずに、普通のCDの音質になっている。

いい音楽を聴きたい。これは、生演奏が一番だが、次に何で聴くのがベストなのか。
これだけ再生機器が変わるとなんともいえないが、少なくとも、余分なカネを使わされた
被害者であるのは、確かかもしれない。