花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (11)

3歳になった姪っ子と買い物に行った。
我が家では、たった一人の新しい命。
姉が高齢出産という範疇に入る中、父親は70歳を迎えての初孫に、なすすべもない。
母・父・祖母・祖父とあらゆる愛情を受け、すくすくと育っている。
私は、仕事の関係で、めったに姪と接することなく、
当初は、近寄っても、泣いて母親にしがみつくのを見て、少しさみしい思いをしていた。
ようやく、自分の面容にも慣れてもらい(いつも本を買ってくれる叔父さんと化したが)、
晴れて2人きりで徒歩1分足らずのスーパーに買い物に行くこととなった。
もっとも、姪っ子が遊びに来た家に飽きて、ジュースを飲みたい、という気まぐれが
運良く重なっただけかもしれない。

突然沸き起こったハプニングは、姪っ子を色めき立たせた。
手には昨日の縁日でもらったヨーヨー(なぜヨーヨーなのか、分からない…)
そして大人の片手で余るような小さいビーチサンダルを自分で履いて、
玄関を飛び出した。

私の心配など、全く気にせず、とにかくパタパタ走る。
足音のパタパタとビーチサンダルのパタパタが重なり合う。
危なっかしい足取りは、ひざまである階段も難なく乗り越えた。
しかし、ボタンはまだ届かないので、エレベーターの中では神妙にしていた。
スーパーの入口が見えると、もうそこしか見ない。案の定、「べちゃっ」と転んだ。
きっと、親がいたら、精一杯、泣くのだろうが、今日は泣かない。見栄も身についた。
子供用のカゴを手にし、ヨーヨーを私に持たせた。(なぜヨーヨーなのか、分からない…)
親のしぐさをまねしたい年頃なのだろう。
レジで千円札を姪っ子に渡し、買い物を楽しんでもらった。
取るに足らない、ほんの10分程度の出来事だったが、私にはいとおしくてたまらない。

人は大きくなる。人はやさしくなる。人は人を愛する。

この子達を守るものは、武器ではなくて「人間そのもの」ではないだろうか。


第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、
    武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、
    これを認めない。

※第二章は「愛」と読み替える。