花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(22) 神保町ミロンガ・ヌオーバ

神保町での喫茶店といえば、ミロンガ。
タンゴが流れ続け、紫煙が漂う中、ここだけは時代や時間が止まっているような気がする。
ここに来る多くの人は、買ったばかりの本を開けて読んでいる。
自分は、入口右のほうのスペースの端の席がお気に入り。
入口左にいる場合は、めったにお目にかかれない雑誌
月刊「ラティーナ」の連載、上野清士「新・南のポリティカ」を読む。

実は、この店はあまり読書に適していない。照明は決して明るくなく、
なおかつテーブルを照らさない。禁煙派の自分にとって、タバコはキツイ。
それでも、足が向くのは、昔から持っているカフェロジー?なのかもしれない。
昔「東京人」で沼田元気が各所の喫茶店を回り、カフェロジーなるものを連載していたが、
そういった「見つけて」入る店ではなく、なんとなく引き寄せられて入ってしまうのである。

この店はコーヒーもココアも良いが、なんといっても世界のビールを扱う店。
自分のお気に入りはギロチン・ビール。アルコール度数が高く、値段も高い(900円)。
但し、最近入荷していない。
冷えた銅製のカップから飲む味は格別に美味い。
手作りピザをよく注文し、来たら、一気にかっ食らう。
休日の夕刻の至福の時でもある。

ひとしきり、気が済んだら、竹橋まで心地よい「ふらふら感」に委ねながら、歩く。
毎日新聞社のビルにある、スターバックスで窓際の大き目のソファーに身を沈め、
モカ・フラッペチーノを飲みながら、本の続きを読む。そんな休日が一番いい。