花鳥風月記

流れる水に文字を書く

写真展2つ

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

今日は、仕事が、早く終わったので、写真展を二つハシゴした。

先ずは、清澄にあるシュウゴアーツとMAGIC ROOM?にて
森村泰昌の「荒ぶる神々の黄昏/なにものかへのレクイエム・其の弐」を見に行く。
初めて行くギャラリーで、場所が分からなかった。
清澄白河から降りて、爆弾低気圧の突風の中、震えながら歩く。
ガソリンスタンドで道を聞いたら、問屋のような大きな倉庫ビルだった。
恐らく、使わないスペースをアーティスト向けに利用方法を転換しているのだろう。
倉庫の広い空間、そして大きなエレベーターも都合が良い。
実際、会場の5階・6階に向かうエレベーターも業務用の大きいものだった。
ギャラリーはそれぞれが洗練された、おしゃれな空間だった。

「其の一」は見たことはないが、今回は、20世紀を形作った
著名人に対するオマージュ?のようなものだった。
自らが、ヒットラー毛沢東アインシュタインゲバラレーニンに扮している。
写真だけではなく、DVDの画像も流れていた。
内容はヒットラーレーニンのものだった。
ヒットラーの画像は、独裁者をテーマにしたひとり芝居、
レーニンは、大阪の釜ヶ崎で撮影されたもの。
滑稽でもあり、真剣でもあり、なにか物悲しい。
それがこの二人には共通しているようだった。
アインシュタインのもあり、下をペロ、と出すシーンの画像
ゲバラはひたすら瞬きもせず頑なな表情を留めている画像があった。
これは、見る人との我慢くらべか?
舌の出しっぱなしで、舌がピクピクしているのも微笑ましい。
瞬きしないと、確かに目の前の世界は「溶解」してゆく。
森村氏の著書を購入。

二つ目は、表参道にある、RAT HOLE GALLERYというところで、
アントワン・ダガタの「SITUATIONS」を見る。
フランス生まれなので、「シチュアシオン」と読むらしい。
ここでも、探すのに時間がかかる。まさかこんな綺麗なところにないだろう、
と思ったところが、ギャラリーだった。

写真は、娼婦や麻薬中毒者などのいわゆる「怪しい」世界を
カメラが「演出」してゆく。
決して「切りとる」ことを目的とせず、モノクロもカラーも含め、
人の動きに任せるかのように、画像は粗く、ぶれていく。
それが一つの表現手段、ということなのだろう。

写真によっては、腕や鼻が消えてしまうものがあり、
非人間的な世界に存在するモンスターのように見えなくもない。

ただ、人間の持つ自然な曲線、時には美しく思うべきところに、
不自然な直線が入り込む。
手首や腕に無数に切り刻まれる傷、
逃げないように、娼婦につけられた顔面の傷、など。
そこには不自然があり、人工があり、暴力がある。

写真展自体は大きくはないが、一枚ごとに付いた値段は結構なものだった。
また、もう少しアントワン・ダガタを知ろうと、カタログ(写真集)を買った。
4,800円。結構高い。