花鳥風月記

流れる水に文字を書く

I’M NOT THERE

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シネカノン有楽町2丁目にて。
GW最終日、人通りは多かったものの、
入場者は決して多くはなかった。有難い。

ボブ・ディランの伝記的映画ではあるものの、
史実・事実に基づいたノンフィクションというよりも、
フィクションの世界を描くことで、ボブ・ディランという存在に
アプローチする手法で描く。
永らく本人が、伝記的映画を拒んできた経緯から言っても
これが最善の手法なのだろう。

映画に共通しているのは、あらゆるかっこ書き(「」)への闘争であり、
かっこ書き(「」)からの逃走だったのではないか、ということ。
常に何かに抗するよりも、かっこ書き(「」)に閉じ込められる
圧迫感と、それを打ち破るために、あらゆる支持層への背信
彼を救い、溺れさせたドラッグでもあったのだろう。

映画に出てくる6人のボブ・ディラン
最初それらしい何かを感じない設定もあったが、
知る人には、接点を感じることが、この映画の
楽しみだったのかもしれない。
(残念ながら自分はその部類ではない)
女性が演じるボブ・ディラン、肌の黒いボブ・ディラン
いずれも言いようのない「リアリティ」を感じることができた。

個人的には、シャルロット・ゲンスブールが母親役で出ていたのが結構ショックだった。
確かに「なまいきシャルロット」からもうだいぶ経っているんだなあ。