花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(92) ワイン三等兵

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銀座で写真展を見た帰り、近くにドイツワインの専門店があったので、
ふと寄ってみた。
ワインの専門店ならごまんとあるが、ドイツワインのみ、というのに興味がわく。

ドイツワインなら、まず、アウスレーゼにしておけば、甘くて間違いはない、
と思っていた自分の思い込みは、脆くも崩れ去った。
店先に「辛口のアウスレーゼ」があった。そしてとんでもなく高く。
お店の方がいうには、アウスレーゼとは摘み方の種類だそうで、全てが甘い、
というわけではない、とのこと。

ワインの試飲を聞かれたが、その時点が、風邪が相当度にひどく、
口から火を吹くぐらいに火照っていた。
その話をして、「じゃあ、勿体無いわね」といいながらも、
結局はご相伴にあずかった。

専門店ということもあって、製造・運搬・貯蔵に細心の注意を払っている。
その過程の一つ一つに講釈があったが、耳をすり抜けてしまった。

3種類飲んだ。風邪をひいても、鼻孔を突き抜ける芳醇な香りと、
まろやかだが強めのアルコールの余韻が脳幹を刺激する。
3つめのアウスレーゼは、今までに飲んだものよりも透明で、味が上品。
1本4,500円だが、この店のなかでは、わりとリーズナブルで、人気商品らしい。
もっとも、自分に対しては、無理にいかが、というのはなかった。

銀座での商売なので、相当な「目利き」なのだと思う。
着ている服装や靴・時計などで、客を見極めるのだろう。
確かに、そのアウスレーゼを買いたい、とおもったが、
所持金は3,000円しかなかった。鋭い。
いろいろ勉強させてもらったので、後日リベンジを果たしたい。

その前にも、新聞でイタリアワインのエッセイを書いて、
アルファロメオに乗ろう、というのがあったので、応募。
その時は、ちょっと高めのキャンティリゼルバを飲んで
エッセイを書く。
もし、当たったら、黒い車ならアルファロメ男、
赤い車ならアルファロメ子と名づけよう。

ほんと、大きな体で小さな男です。三等兵。