花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎『重力ピエロ』

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伊坂幸太郎の3作目。
順番からいえば、『オーデュボンの祈り』のあとは、
2作目の『ラッシュライフ』が順当だったが、
たまたま手に取ったのがこの本だった。

家族という「絆」を中心に、遺伝子・映画・芸術など、
多彩な内容をちりばめられた、内容の濃い文章。
ストーリーの構成自体は、わりとシンプルで、
その部分を、サイドストーリーで盛り上げている。

途中「オーデュボン」に出てきた主人公が現れたり、
最初と最後を「春が二階から落ちてきた」するあたりは、
どことなく楽しんで書いているなあ、というところもあったが、
巻末の参考文献などみると一生懸命なんだなあ、と思った。

レイプ事件で生まれた「春」は最後まで、どんな人間か
よく分からなかった。
今度映画化されるらしいが、どんな映画になるか楽しみではある。
さしずめ、もし若ければ、「春」役は堺雅人かなあ、と思った。