花鳥風月記

流れる水に文字を書く

花はどこへいった ベトナム戦争のことを知っていますか

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神保町の岩波ホールにて。
坂田雅子監督の夫グレッグ・デイビス氏の死をきっかけに作られた映画。

ベトナム戦争で3年間兵役をつとめた後、
祖国アメリカを「見限って」写真家として、ベトナムを撮影し続けた。
戦争中に散布された枯葉剤(Agent Orange)が、グレッグを蝕み、
ついには命を奪ったのでは、という気持ちで、坂田はベトナムへ向かう。

そこには、戦後30年経とうとしても、ダイオキシンの影響で、
奇形新生児が生まれ、育っている。
家族は、宿命と受け止め、明るく・健気に育てている。
しかしながら、身体に侵食された薬害を苦に
子どもを産むのも躊躇われる家族もある。
また、3世代に当たる孫にも影響を及ぼすところをみると、
戦争の傷跡が痛々しくも残り続けることに、心が痛い。

飛行機から、ただ人を殺すためにもちいた薬害の散布。
その映像を見るだけで、身勝手な大国の横暴に怒りすら感じる。

原爆・枯葉剤劣化ウラン弾

一体これはどこから作られ、使われているのか。
言うまでもなく「自由の国」「民主主義の国」「資本主義の国」のアメリカ合衆国

私たちの来た道が本当にこれでいいのか、ということを問うている作品でもある。

映画の最初に流れたジョーン・バエズの歌声は、昨日LIVE AIDで、
アメイジング・グレイス」を聴いて、じんわりとした気持ちが蘇った。
映画タイトルの「花はどこへいった」は当時の流行の反戦歌で、
映画の最後にもピーター、ポール&マリーの歌声が流れているが、
ピート・シガーの歌う(アカペラ調の)原曲も心に沁みる。