花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(101) 洞爺湖サミットに思う

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

拝啓 窪山哲雄

先進国首脳会談の会場に、
「ザ・ウィンザーホテル洞爺」が選ばれて
良かったですね。
宮崎シーガイアの惨憺たる状況をみると、
ほんとうにそう思います。

TVの特集であなたを見て、
あなたが書かれた「プロジェクト・ホテル」を読んで、
経営には哲学があることが良く分かりました。

ホテル・エイペックス洞爺からの再生の途のなかで、
唯一、求めていたものは「格式」なのではないでしょうか。
時に不況や、噴火の憂き目に遭いながらも、
ひたすら、ブランドの確立と向上に血道をあげてこられたことと思います。

クルマでいうならトヨタクラウンでしょうか。
「いつかは…」というような、人生の完成形・最終形の贅沢を、
または、いわゆる「品格の優れた」富裕層が、心置きなくおカネを
置いていってくれるような、そんな理想郷を求めていらっしゃるのですね。

つまり
地元にカネは払うが、おカネの無い人や、大都市に住む庶民層は客と思わず、
そこに警察権力が街中で監視する、暑くも息苦しい街中で、
ロッカーやゴミ箱が全て封鎖され、「安全、安全」と身ぐるみはがされ、
がんじがらめにあったとしても、会が成功すればいいのですね。

サミットの会場は、日本の顧客ではなく、
外国の顧客を呼び寄せるカンフル剤として
頑張っているのですね。

でも、少し不安です。強引過ぎるやり方は、必ずしっぺ返しがきます。
少なからず、あなたは今回の息苦しい社会生活を招いたことで、
批判の矢面に晒されるのではないかと不安です。
ここは、広く世間に向けて、(成功してからで良いと思いますが)
感謝とお詫びの言葉を述べられたらどうでしょう。

「大きなサービスのために、小さなサービスがないがしろにされる」
この構造が今回、あまりにも大きすぎたため、
あなたの予想もしない展開になるのではないかと不安です。

いっそ今回のサミットが、
「環境問題を謳いながら、警備を含め、あまりにも無駄なエネルギーを使う」
という教訓を導き出し、いっそこの日本での開催を今後行わないで、
社会に優しい国づくりにつながっていけたらいいんじゃないかなあ、
と思ってしまいます。

私の利益と公の利益。これは大いに相反するかもしれません。
人はその中で板ばさみにあい、日々苦労と苦痛を強いられる毎日だと思います。
そんなときにこそ、「止まり木(ホテル)」には優しい存在でいてほしいものです。
「品格」の上下は問わずに。
                                 敬具