花鳥風月記

流れる水に文字を書く

棚橋俊夫 『野菜の力 精進の時代』

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きっとこれからの生涯で、
行けなかったことを後悔してやまない
「月心居」の棚橋氏による本。

料理の本(レシピ)ではなく、むしろ精神のレシピのようなもの。
氏の裏打ちされた哲学と信仰に基づいた「骨太の」エッセイ。
突き詰めれば、哲学であり、エコである。
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不幸とは、足るを知らないこと。幸せとは、足るを知る喜びを持つこと。
(19ページ)
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自然には、摂理はあっても合理性、経済性は存在しません。合理的とは違って、
実に巧みにできています。それは人智を超えた永劫の原理です。
この原理、摂理を料(はか)ることこそ、まさに「料理」なのです。
(172ページ)
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飽食・過食の時代に警鐘をならし、また、身体が求める食事を探し都会を
彷徨う姿に異を唱える。
行く先には「食の総合大学」という構想もあるようだ。
「現代人(いまどきのひと)」との折り合いは少々難しそうだが、
この本を読んだだけでも、ご飯を鍋で炊きたくなるような気持ちになる。
「食べたい」をいかに「作りたい・食べさせたい」に変えるかが、
正念場なのかもしれない。

でも、その前に「月心居」で食したかった。