花鳥風月記

流れる水に文字を書く

不都合な真実

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少し前、アル・ゴアの『不都合な真実―AN INCONVENIENT TRUTH』を観る。
大混戦だった2000年の大統領選挙の際、一説にはこの選挙が長期化し、
莫大な借金を抱えることとなり、次の大統領選挙には立候補できず、
環境問題の講演を続けるようになったのでは、とも目されている。
(本当かどうかは分かりませんが…)
ともあれ、周囲から尊敬される、という当たり前でかつ、
日本では絶滅危惧種に指定されるような政治家ではないかと思います。
環境問題で全国行脚をする、ということで思い出したのは、
1988年ごろに話題になった広瀬隆の『危険な話』という本です。
当時はチェルノブイリ原発事故や、『朝まで生テレビ』での白熱した議論など、
環境問題、特に生命の危険を脅かす原子力発電に注目が集まっていたと思います。
1992年のリオデジャネイロでの環境サミット以降、話題の中心は、
温暖化や二酸化炭素の排出規制など、より具体的なテーマになっていったが、
不思議なことに環境問題の話題や関心が薄れていったような気がした。
もっともその時期から、イラク戦争やPKOなど、「国防」をめぐる話題が
取って代わり、二酸化炭素の排出規制などの話題はあまり身近なものとしては
見向きされなくなってしまったのかもしれない。
また、度重なる原発事故やデータ隠蔽・改ざん事件が相次ぎ、それが恒常的なものとして
慣れてしまったこともあるのでは、と思う。そこに東海村の臨界事故が発生した。
この事件は、恐らく日本よりも、海外での注目度が高かったのかもしれない。
環境問題といえば、「自然を大事にしなければいけない」「無駄遣いをやめる」
といったことが頭に浮かぶが、では実際、どんなにひどいのかということに関して、
上記の考え方、先入観が免罪符のようになってしまっていることも言える。
不都合な真実』のなかで、気になった言葉を最後に引用する。
(これはアル・ゴアの言葉ではなく、もとはマーク・トウェインの言葉らしい)
It ain't what you don't know that gets you into trouble.
It's what you know for sure that just ain't so.
「災いを引き起こすのは、“知らないこと”ではない。
“知らないのに知っていると思い込んでいること”である」
              ―上記いずれも書籍版から引用