花鳥風月記

流れる水に文字を書く

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』

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全く違う別の本と並行して読んでいると、時間がえらくかかった。

東北の大学に進み、入学を間近に控えた学生と
その隣人に書店の強盗に付き合わされたことによって、
様々なストーリーが展開する。

伊坂特有のシーンをどんどん変えて、話の内容に厚みを持たせている。
最後は大きめな仕掛けがあったが、そこまでは割と平板で、ちょっとツライ。

今回は、「ペット(動物)殺し」に焦点を当てているせいか、
ヒトに対する「殺し」がなかったのが特徴的だ。
それでいて、物語を充満させる死や暴力というものが、
深く抉ってくる。

この小説では、「陽気なギャング…」に出てくる響野の妻祥子が、
主人公の叔母の設定で現れる。
伊坂はファンサービスを忘れないなあ、と思った。