花鳥風月記

流れる水に文字を書く

内田満 『政治の品位』

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東京駅地下街の八重洲古書館にて購入。
最近の古本は新しいものや状態の良いものも結構ある。
京都では、この本を持って喫茶店で過ごす。

刊行は2007年3月。その2ヶ月前に亡くなられたので、遺作でもある。
今や無関心の対象になりつつある国政選挙について、歴史をひもとき、
議会制民主主義を彩った様々な名句・名言を連ねている。

欧米の制度に倣うべき面はありつつも、未だに「輸入学問」としての
謗(そし)りを免れない日本の政治学に新たな地平を求めようとしている。
但し、内田本人の言葉による意見は少なく、
途中、講演をまとめたことに起因する内容の重複やツギハギ感は否めないが、
永らく学究の場で真摯に取り組んできた姿は想像に難くない。

きっと昔からこの本の内容が「語り継がれて」いるならば、
日本の選挙制度も若干の変化はあったのかもしれない。
一体、こういったことは、小・中・高のどこで学べるのだろう?
大学に入ってからでは遅すぎるような感じがする。

オトナになる前にオトナの教育を受けるなら、
有権者になる前に有権者の教育を受けるのが筋だろう。
それとも、有権者の教育を受けさせるのが恐い、というのが
小政治家の思惑なのだろうか…。