花鳥風月記

流れる水に文字を書く

荻原浩 『噂』

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職場の後輩のオススメで読んだ。

流行の発信源として渋谷の女子高生に発した「噂」が
いつの間にか「都市伝説」のようなものとなり、
それを模倣するような連続殺人事件が発生する。

事件の解決のため、長く重い困難を乗り越え、
事件は急転直下の解決に至る。
そこには幾重もの仕掛けがある。

ネット・都市伝説・フェテシズム。
8年ほど前の作品ながら、
人間が人格を離れて存在する実在のない空間を興味深く書ききっている。

「最後の1行が衝撃的」とのことだが、確かにそう思える。
「最後に正義が勝つ」という安易なテーゼへの反目が、
最後の場面と読後感を引き締めている。

なかなか面白かった。