花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (73)

「責任」者は?

クルー
キャプテン
チーフ
スウィングマネージャー

何か肩書きばかりがカッコよく思える名称だが、
細長く、狭い通路を挟みながら、
シャリと具をのせる作業(調理?)に従事する人たちを指す。

全国に展開する牛丼チェーンの「すき家」の「みなし店長」の問題。
上記4つの肩書きはいずれもアルバイトの雇用形態に変わりがない。
アルバイトという状況下で、労働条件は厳しい。残業はつかないらしい。
その実態はMy News Japanに詳しく出ている。
http://www.mynewsjapan.com/reports/832

月175時間以上の労働によって初めて残業代がつく。
1日7時間を25日働くと175時間。
勿論、週6で時間通りきっちり入るアルバイトがどれだけいるか、の問題もある。
この条件は、たとえ、18時間ぶっ続けで働いても、月の労働時間の枠内であれば、
残業代も手当てもつかないらしい。

きっとこれは「すき家」に限った問題ではないのだろう。
外食産業の、いわゆるファーストフードやファミレスでは、
きっと常態化されているのではないかと思う。

外食産業も、味や質の均一化を実現したあとの、最大の関心事は
人件費の問題ではないだろうか。
単純に加熱し、よそい、客に提供する。
やはり、料理(調理)というより、作業になっている。
これは、コンビニの弁当にも言える。

そして時として、その作業の感覚が麻痺して、現在にあるような、
食の不安(産地偽装・消費期限改竄・異物混入)が生じるのだろう。
勿論、そういったことに関与する人間は断罪すべきだが、
もうひとつ気になるのは、結局はその「店」なり「食」を守るのが
誰なのか、ということである。

「この店の味は私が守る」「食べに来る人に喜んでもらいたい」
今、空疎となってしまった感もあるこの言葉に重みを感じる人が
どの位いるのだろうか。

また、食の安全のため、その「防衛」を意識する人は多い。
しかしながら、一体どれだけの人が、
「ものの作られ方」「食材の来し方」に思いを馳せるだろうか。

ついでに言うなら、産地直送の演出も、「偽装」の域に達しているかもしれない。
先日スーパーで見た「産地直送」の製造者の写真の背景は、どの人間も、
見事に同じ「ハメコミ画像」だった。本棚の前で話せば知的に見えるように、
キレイな作物風景を前に写ったら、なにか「安心」を感じてしまうのではないか。

食は、薬にも毒にもなる。そしてその毒にも「免疫」は必要だろう。
問題は、食べる側の人間も、もう少し「太い」生き方が必要ではないだろうか。
そして、敢えて「無菌状態」ではいられない、食の環境を覚悟すべきだと思う。


(やや蛇足で…)
でも、人間も不思議なもの。
こういったものを食べ終わったあとに
「ああ、美味しいものを食べたいなあ」と、ふと思ったりしません?
きっと、クルーもキャプテンもチーフもスウィングマネージャーもそう思うだろう。
そして、「自慢の逸品!」と、出された料理を味わう至福を妄想したりするものだ…。


第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣
      連署することを必要とする。