花鳥風月記

流れる水に文字を書く

トウキョウソナタ

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シネカノン有楽町1丁目にて。

水曜日だったので1,000円で観られた。

ごく普通に思える一般家庭が、
父親のリストラ、
長男の米国軍隊志願、
次男の学校での不和とピアノ
母親の強盗被害に乗じた逃避行
といった瓦解を通じて、
一人一人が、「やりなおしたい」という思いを募らせる作品。

キーポイントとして、「権威の失墜」があり、
次男の通う小学校の教師や父親や、リストラ連中の
プライドとその崩壊を粛々と描いている。

弱肉強食という論理と常識が狂気につながってゆく。
普通と貧困という境目はほんのわずか、という肌寒さも感じさせる。
また、飽食は精神にも及び、長男の米国軍隊志願は、それを皮肉としている。

静かであるが故に、重く響くソナタの調べであった。

香川照之は、素晴らしい。
小泉今日子は、特に印象に残らないので、良く演じていたのだと思う。
ただ、役所広司が若干暑苦しかった。