花鳥風月記

流れる水に文字を書く

さよなら週刊金曜日 その2

業務部からのメールをみて、ここ14年近く思っていたことを
率直にメールで送ってみた。

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以下は、今回のことについていろいろ考えたことを伝えておきたいと思います。
ご多忙かと思いますが、お時間がある時に、ご覧頂けたら幸甚です。
何かお役に立てる内容があれば、必要に応じて社内外に公にしていただいても構いません。

今の購読者の多くの方と同様、私も創刊時からの購読者です。
朝日ジャーナル休刊(廃刊)時の本多勝一氏の連載での呼びかけに応じて、
というのがきっかけです。
志ある雑誌は必要だということは理解しつつ、定期購読をしていたのですが、
その反面で、「本多勝一後」はどうなるんだろう、という一抹の不安も感じながら
支持していたことも事実です。
創刊時目標は5万部で、当初はその目標に少し及ばなかったことも聞いたことがあります。
どの雑誌にも言えることですが、部数は、創刊時から漸減していくのが常かと思います。
その意味では、部数増を目指すのは、大変な努力が必要ではないかと思います。

ここ最近の「週刊金曜日」を読んでいても、不安がいくつかあり、その多くは的中していた、
ということでした。
先日頂いたお返事から、私が認識した範囲での購読部数では、
かなり深刻な状況にあるのではないか、と思いました。
それは、購読料収入や人件費を電卓ではじけば、容易に想像がつきます。
そして誌面についても、かつてあった緊張感が無くなっているとも感じました。
「貧すれば鈍ず」ではありませんが、恐らく創刊当初計画していた誌面に対する待遇とは
違ってきているのではないかと。
高い立場から申し上げているようで申し訳ないのですが、記事の質が確実に落ちている、ということ。
それは、連載・寄稿する人がそれなりの方であっても何かボランティアに近い形で
やっているからではないか、という不安です。
これは具体的にどれ、ということではなく、全体を見通しての印象です。

いままで、「週刊金曜日」が、購読部数(実売部数)や経営状況を公にしたことはなかったと思います。
市民の立場に身を置く雑誌としては、それは不透明な印象がありました。
理由は、恐らく上手くいっていないからだろうと思い、その疑問も抱きつつ、
更新手続きがズルズルと伸びてしまったことは確かです。

そして今回の一件です。先ず佐高氏の文章を見たときに想起したのが、
消費者金融日栄」のことです。
ご記憶にあろうかと思いますが、借金の返済の督促で、「目玉を売れ、肝臓を売れ」といった
あくどい取立てです。
必要な案内文は、小さな紙に綴られ、なぜわざわざ「週刊金曜日」の原稿用紙で、
殴り書きのような書面で、そして案内文の倍の大きさで送ってきたのだろうか。
これは何らかの「威」を借りて物事を進めようとする手段ではないか。
文章の内容云々ではなく、この佐高氏直筆と思われる文書全体に暴力性を感じたのです。
そんなつもりではない、とお思いになられるかもしれませんが、両者には共通していることがあります。
「何とかしなければならない」という焦りです。その焦りの原因が経営状況であるならば、
そこは正気に戻るべきでは、と思いました。
また、あらかじめコピーされたものがあるということは、同じようなケースで使うという
マニュアルが出来ているものだと思いました。
もし、私の感じたことが極端であれば良いのですが、そうでないとしたら
取り返しのつかないことをしているのではないかと思います。
「そんなことを言われる筋合いはない 
創刊から買ってる読者を何だと思っているのか 
おまけにこれは借金じゃない」
それが10月に頂いた手紙で感じたことです。
購読更新は、単なる金銭の継続手続きではありません。年額23,000円は高額です。
この1年、この雑誌はどんな記事を書いていたか、そして更新に足る内容か…。
常に評価を問われていることに気付いて頂きたいと思います。特に編集部の方に。

果たして「週刊金曜日」に自浄能力があるかどうか不安です。
編集部に権限があって、業務部の立場がない、
ということもあるのかなあ、と狼狽心ながら思います。
「いいものをつくれば、部数が増える」という人がいるとするなら、
そういう人こそ肝心な素養が無能であることが多いと思います。
それは、部数の凋落が物語っていると思います。
それこそ「週刊金曜日」で株式会社金曜日を内部告発してみては、とも思います。

良き経営者がおられることを祈ります。

長々と、時には不快な内容もあろうかと思います。
こちらも長く待たされた分、積もっていたものが、文面にでているかと思います。
それはご容赦願いたいかと思います。
今は、1年でも長く「週刊金曜日」が続くことを願っております。
失礼します。
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このメールの翌日には、返信メールが到着。
簡明な謝礼に続いて、こう記されていた。

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頂きましたメールは編集長の北村に転送いたします。

ご推察の(株)金曜日の現状ですが、ご指摘通りのものもございました。
その点は今後の課題として、取り組んでいく所存です。
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取り組みを是非期待したいと思った。(続く)