花鳥風月記

流れる水に文字を書く

愚短想(121) 加藤周一を偲んで

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加藤周一が今月5日に亡くなった。
『日本文化における時間と空間』をブログに書いて日も浅く、
何か残念としかいいようがない。

恥ずかしながら、朝日新聞夕刊のコラム「夕陽妄語」以外に、
本格的に加藤周一の本を読んだのは、この時が初めてだった。

ただ、読後感の中で、高齢ゆえに書くのを躊躇ったが、
「これはスワン・ソングではなかろうか」と思った。

スワン・ソングとは、白鳥が死ぬ間際に出す声のことで、
とても美しい声と言われている。
この言葉を知ったのは、先月亡くなった筑紫哲也のコラムだった。
『日本文化における時間と空間』を読んだ時にも、
極めて秀逸な現代思想批判に思えた。
決して今まで触れることのない・触れたがらない、
日本人が持ち続ける意識の「底流」に切り込んだ一作と思えた。

自分が今、感じ、書けることはここまでが限界かと思う。
後は、遺された本を読んでゆくことにしたい。