花鳥風月記

流れる水に文字を書く

チェ28歳の革命

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チェ・ゲバラの半生を綴った映画の2部作の1作目。
舞浜のイクスピアリで観る。
初日にもかかわらず、結構良い席で観れた。
やはり、ここは穴場だ。

家族で観に行く。家族映画でゲバラ、というのもある意味スゴイ。
前回の家族映画は、ヘンリー・フォンダの「黄昏」(1981年)だから、
実に28年ぶり、ということになる。

今でもリスペクトされる「カリスマ」を演じ・表現することは難しい。
配役もそれぞれが、その姿を彷彿とさせるような雰囲気が醸し出されていた。
去年、アレイダ・マルチ(ゲバラ夫人)の手記を読んでいたので、
映画の雰囲気も何となくつかめた。
というより、今回の映画は、この手記にも大きく影響されていたことも伺える。
例えば、アレイダがはじめてチェと対面した時のエピソードは手記の読後感として
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はじめてチェに会ったときの想い出が
身体にテープで巻きつけたおカネを早く剥したい、といったところは
映画にしたら面白いエピソードなのだろうなあ、と思った。
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と書いたら、まったくそのままの展開が入っていた。
これは、ある意味「お約束」のシーンだったに違いない。
また、革命に携わった人、特にカミロの道化ぶりは、印象に強かった。

それが故、一人のカリスマの姿を映し出すには、難しいことが多かっただろう。
安っぽいラブストーリーにできない。
「忠実な再現」とは何か。
「カリスマ」と信奉(?)する人にウケルものとは何か。

スペイン・フランス・アメリカの三国の合作という部分が、
わりと冷めた視線となっていたのが良かった。
ニューヨークの国連演説に向かうなかでの合衆国国民からの罵倒。
当時言われていたであろう、キューバ革命の「狂気の世界」を、
皮肉にもアメリカがそうであったように映し出している。

また、回想シーンとして、メキシコからグランマ号に乗って
キューバに到着してからのゲリラ活動を点描するのも
よく整理されたストーリー設定として良かった。

ストーリーは、難攻不落だったサンタ・クララを攻略し、
ハバナに進軍する前の段階で終わる。
敢えてハバナ占領を選ばなかったことは、
相当の思慮があったと思われる。
単なる革命賛歌とならぬよう、最後のシーンも、
人はいかに成長・進化するかを問い・悩む姿が描かれている。
そしてそれが、きっと次回作の「39歳別れの手紙」につながる
プロローグであると言えよう。

ふと思い出したことがあった。
中学か高校生の頃だったか「何でオレが…」とぼやいていた時に
母親に「ゲバラの犠牲の精神やよ」と諭されたことがある。
いきなり「ゲバラ」という名が出て、びっくりしたが、
そしてその時の自分がどれだけその存在を理解していたが覚えてないが、
あの母ちゃんが言うくらいだから、と妙に納得したことがあった。
しかし、今回の映画をみて、2作目はいいや、と言っていた。
あの時の納得はなんだったのかなあ…。