花鳥風月記

流れる水に文字を書く

日本国憲法百景 (84)

値切りの法則 その2

買い物はやっぱり人生勉強。
人は生涯年収のなかで、いかに商品に巡り合えるものなのか。
多くの消費と「浪費」を費やすなかで、
より賢い・ずる賢い消費者であろうとする、第2弾。

価格決定は、売り手と買い手のコミュニケーションでうまれる。
その最たるものは「せり」だが、
人間関係・力関係がものをいうときもあり、
また、その時のモチベーション、というか「気合い」が
活路を見出すことがある。

オーディオ製品を買った時のこと。
値段は常に変動する。インターネットで価格帯を調べ
最安値をチェックする。

最近の家電販売も、価格競争が激しい。
店頭には、「他よりも安くします」というのが、
当たり前のように貼ってある。

今回は、秋葉原にある販売店Yに行く。

【ここがポイント】必要以上のおカネを持っていかない。
―というより必要以下の金額しか持って行かない。
ネットでの金額では手が届くが、店頭販売はそれより6,000円高かった。
当然、ネットでの金額だけ持っていく。

さあ、ここで退路は断った。あとは「買えるか・買えないか」だけ。
心置きなく、闘え。

相手を選ぶ。決済力のある、売り場責任者が良いのかもしれないが、
今回は折り悪く「実習生」に当たる。それはそれでやり方がある。

調べてあることを伝える。
「この商品は、ネットで調べたら、32,000円くらいなのに
なんでここでは38,600円もするんですか?」
「発売して1年以上経つから、価格ももっと下がるでしょう」
「正直ネットで購入ってイヤだし、こうしたモノを直接買いたいんだよねえ」
この時、最安値の情報も事前にプリントアウトしていたものを見せる。

じつは、売り場の責任者ならば、「他より高い」ことを
声高にいってもいいんではないか、と思ったりした。
(お客が多い日だと、簡単に心を折ってもらえるかも知れない、という考えは甘いか?)

「ああ、これは○○さんの金額ですね」
「確かに去年の秋の発売ですね」
実習生といえども、商品の勉強(というか調べることは)
なんとかできる様子。

「で、安くならないの?できれば3万円でお釣りが欲しいんだけど…」
「ちょっと難しいですねえ。ポイントカードはお持ちですか」
「持ってるけどいくら入っているか分からない(ホントは知っていた)し、
それよりもコレ自体が安くならないの?」

「ちょっと上のカテゴリーでないと分からないんですよ」
ここで一度目のカチン、がくる。
カテゴリーだあ?どこの国でそんなカタカナ転がしてんだよ、とムッとした。
「じゃあ、聞いてみて下さい」

待つこと5分。
「やっぱり、お客様のいう金額は難しいんですよ」
「じゃあ、いくらなら大丈夫なの?」
「それはちょっと…」
ここで二度目のカチン。で、ここがポイント。
【世間の常識を叩き込む】
「『いくらか』と聞いて『分からない』なんて答えるところが
どこにあるんだよ。こっちも遊びにきてんじゃないんだよ」
しぶしぶ、もう一度聞きに行く。やや半泣き。

「では、今回はポイントをお付けしないで、その分引いた上で、
さらに2,000円引かせて頂きます」
“引き”も肝心。
これ以上は無理かなあ、と思ったら、話をスピーディーに進める。
「30,000円切らないのかあ。○○よりも高いのかあ。
まあ、もう無理だとしたら、金額はないかもしれないけど、
ポイントカードで引ける分だけ引いてもらおうかなあ(ゴメン、知ってた)」

実習生小走りに駆け寄る。
「ポイントカードで5,000円ちょっとあります…」
なんかホッとしたような表情で言って来た。

かくして、38,600円を27,400円に値引いて購入。

何か自分が悪者に思われるかもしれないが、
決してそんなことはない。
実習生にとっては、良い社会経験になったはずだ。

そう、買い物は常に「闘い(たたかい)」
―というか「叩きあい(たたきあい)」でもある。


第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、
      国会の議決に基くことを必要とする。

※第七章「財政」は「お財布」と読み替える。